閉じずに、ひとりになれる。鎌倉の子育てリモートワークの住まい

在宅ワークが一般的になる中、小さなお子さまがいるご家庭では「リビング学習」ならぬ「リビングワーク」を検討される方も多いでしょう。
しかし、家族の声やテレビの音がある中で、本当に仕事に集中できるのかという不安は尽きません。
掲載している写真の奥に見えるのは、あえて壁を作らずにLDKの一角に設けたワークスペースです。
今回は、この「開かれた仕事場」がどのようにして高い集中力を生み出しているのか、鎌倉市K様邸の実例をもとに具体的な設計の工夫を見ていきましょう。
Q:「小さな子供がリビングで遊んでいるなか、壁のない場所で本当に仕事に集中できるのでしょうか?画面をのぞき見られたり、落ち着かなかったりしませんか?」
A:プロが考えた答え
【結論と理由】
結論から申し上げますと、壁で完全に仕切らなくても、家具の配置と視線の工夫だけで、深く集中できる仕事場はつくれます。
この事例で目指したのは「閉じずに、ひとりになれる」こと。
壁で囲って静かにするのは簡単ですが、それだと家族から孤立してしまいます。
そうではなく、デスクの向きや窓の取り方で、家族の気配は届いたまま、画面と手元だけをそっと隠す。
そうやって、同じ空間にいながら仕事に入り込める居場所をつくりました。
【この事例の具体的な工夫】
この事例では、延床28坪という限られた広さの中で、当初計画されていた「2階の独立した書斎」を取りやめ、あえて1階LDKの一角にオープンなデスクを造作しました。
これは奥様の「家族の気配は感じていたい」というご要望と、ご主人の「集中できる居場所」という希望を、床面積を増やさずに両立させるための判断でした。
工夫の核心はデスクの向きです。家族のメイン動線に対してあえて角度をつけて配置することで、ダイニングやソファでくつろぐ家族の正面から、パソコンの画面や手元の資料が直接見えにくい構造にしています。
さらに、デスクの上部には専用のオープン棚を造作し、仕事道具の定位置を確保することで、生活空間に"仕事の散らかり"が侵食しないよう配慮しました。
また、窓を机の正面ではなく脇に設けることで、外の緑を感じて目を休めつつ、画面への光の映り込みや西日のまぶしさを抑えています。
床の無垢材や、調湿効果のある塗り壁といった自然素材も、仕事中の心地よい静けさを支える大切な要素です。
フルリモートで働くご主人は、引き渡し時に「閉じこもらなくても、ちゃんとひとりになれる。家族の隣にいるのに集中できるのが不思議です」という言葉を残されており、物理的な壁がなくても高い集中が得られることを実感されています。
【あなたへのアドバイスと次の一歩】
「個室でなければ仕事ができない」という既成概念を一度手放してみると、家族との距離感や住まいの使い勝手は大きく広がります。
特に限られた床面積で家を建てる場合、ワークスペースをリビングの一部として設計することは、将来お子さまが成長した際の学習スペースとしても活用できる、非常に柔軟性の高い選択となります。
自分たちにとっての「ちょうどいい距離感」は、図面だけではなかなかイメージしにくいものです。
まずは、こうした造作デスクの配置や窓の取り方が、実際の視界の中でどう働くのか。完成見学会や相談会で、その"距離感"を体感してみることから始めてみませんか。
まとめ
小さなお子さまがいても、設計の知恵次第で「家族のそば」と「仕事の集中」は驚くほど自然に共存します。
広さや壁の有無ではなく、視線や動線をどう扱うか——そこに住まいの心地よさが宿ります。
「閉じずに、ひとりになれる」仕事場を、どうつくるか。実例を見ながら、一緒に考えてみませんか。

